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松山地方裁判所 昭和56年(わ)210号 判決 1981年8月25日

本店所在地

愛媛県伊予郡松前町大字濱五六八番地

恭海海運株式会社

右代表者代表取締役

中山満太

本籍

岡山県邑久郡牛窓町牛窓二七七二番地

住所

愛媛県伊予郡松前町大字濱七四七番地

会社役員

中山満太

大正六年三月一六日生

右恭海海運株式会社及び中山満太に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官鈴木和雄出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告会社恭海海運株式会社を罰金一四〇〇万円に、被告人中山満太を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人中山満太については、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社恭海海運株式会社は、愛媛県伊予郡松前町大字濱五六八番地に本店を置き、船舶の賃貸借及び海上運送を業とするもの、被告人中山満太は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人中山満太は同会社の従業員で経理面を掌理していた山本正彦と共謀のうえ、同会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、運送収入の除外及び架空の運送原価を計上するなどの不正の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五二年三月一日から同五三年二月二八日までの事業年度における実際の所得金額は七一四八万八〇八八円で、これに対する法人税額は二六七一万一六〇〇円であるのに、同年五月一日愛媛県松山市本町一丁目三番四号所在の松山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は二四八一万七八〇〇円で、これに対する法人税額は八〇九万二九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正規の法人税額と申告税額との差額一八六一万八七〇〇円をほ脱し、

第二  昭和五三年三月一日から同五四年二月二八日までの事業年度における実際の所得金額は六四八四万一九一三円で、これに対する法人税額は二四〇三万四二〇〇円であるのに、同年五月一日前記松山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は二五四七万四三八二円で、これに対する法人税額は八三三万二五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正規の法人税額と申告税額との差額一五七〇万一七〇〇円をほ脱し、

第三  昭和五四年三月一日から同五五年二月二九日までの事業年度における実際の所得金額は九八〇一万五五二二円で、これに対する法人税額は三七〇一万六四〇〇円であるのに、同年四月三〇日前記松山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は四九七八万五一九七円で、これに対する法人税額は一七七五万二四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正規の法人税額と申告税額との差額一九二六万四〇〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一、被告会社代表者兼被告人中山満太の当公判廷における供述

一、前同人の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一、山本正彦の検察官に対する供述調書二通及び大蔵事務官に対する質問てん末書六通

一、清水錬太郎、西田宏、越智正則、石丸日出男、渡辺家取、那須嘉治(四通)、鳴坂勝輔(三通)、小岸石太(三通)、中山雄峰、清水秀雄、山本勝彦、野村清夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、登記簿謄本及び被告会社定款の謄本

一、大蔵事務官作成の査察官調査書及び脱税額計算書三通

一、同栄運輸株式会社取締役社長他一名作成の証明書

一、株式会社三菱銀行徳山支店支店長他一名作成の証明書

一、株式会社山口相互銀行富田支店支店長他一名作成の証明書

一、株式会社山口銀行富田支店支店長他一名作成の証明書

一、押収してある法人税決議書綴一綴(昭和五六年押第九七号の1)、元帳三冊(同押号の2ないし4)、普通預金通帳三冊(同押号の5ないし7)、税務調査書類綴五綴(同押号の8ないし11、32)、請求書綴二綴(同押号の12、14)、請求書等綴三綴(同押号の13、36、37)、金銭出納簿(同押号の15)、金銭出納帳六冊(同押号の18ないし22、24)、出納簿一綴(同押号の35)、給料明細表綴一綴、給料計算メモ一袋、船別給料等支給帳一冊、給料支払明細綴一綴、給料明細台帳一綴、退職金等計算メモ一枚(順次同押号の16、17、23、25、27、34)、恭海海運宇部連絡所書類綴一綴(同押号の26)、修繕費関係書類綴一綴、修繕費請求書綴一綴(順次同押号の28、29)、岡山勘定領収書綴一綴(同押号の30)、売上集計簿一綴(同押号の31)、仮仕切書一冊、仕切書一冊(順次同押号の33、38)

(法令の適用)

該当法条及び刑種の選択

被告人中山 刑法六〇条、法人税法一五九条一項

懲役刑のみを選択

被告会社 同法一六四条一項、一五九条一項

併合罪の処理

被告人中山 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条

(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

被告会社 同法四五条前段、四八条二項

刑の執行猶予

被告人中山 同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 福家寛)

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